進撃の巨人のヒストリアは
物語の中で唐突に妊娠、出産した感じがありました。
進撃の巨人は既に漫画もアニメも最終回まで完結しましたが、
ヒストリアが結局なぜ妊娠したのか、
なぜ子供を産む必要があったのか、
若干分かりにくい部分があります。
ヒストリアが唐突に妊娠する流れになったのは、
ヒストリアの
「私が・・・子供を作るのはどう?」
発言からでした。
進撃の巨人のアニメ版では
第87話「人類の夜明け」で登場するセリフです。
前後の脈絡があまり感じられず、
エレンとヒストリアの会話が続いていた後、
唐突に出てきた気がするので、
一瞬ぽかーんとしてしまうようなセリフです。
進撃の巨人の物語の中でヒストリアはこの後、
このセリフ通り妊娠し子供を産んでいます。
なぜヒストリアが子供を産んだのか?
その理由と、
この唐突な感じのするセリフの意味、
その前のエレンとの会話の繋がりを考えてみたいと思います。
アニメ第87話のエレンとヒストリアの会話。
漫画とアニメでは若干前後が違うのですが、
今回はアニメ版のシーンで考えたいと思います。
進撃の巨人のアニメ第87話「人類の夜明け」の中で、
エレンとヒストリアは
ジークや憲兵団の計画について下の内容の話をしました。
エレン:
「憲兵団はおまえを巨人にして島に来たジークを食わせる計画を進めている。
憲兵と争うか、ここから逃げるしか手はない」
ヒストリア:
「私だって牛の世話だけしてたわけじゃない。
分かってる。争う必要も逃げる必要もない。
この島が生き残る一番堅実な方法があれば、私はそれに従う。
他に方法はなかった・・・。でも、あの時エレンが私をかばってくれて・・・
みんなが動いてくれたから・・・私はそれで十分だよ。」
エレン:
「お前がよくても俺は違う」
ヒストリア:
「え ? 」
エレン:
「世界を滅ぼす。すべての敵を・・・
この世から一匹残らず駆逐する」
驚いて止めるヒストリア。
ヒストリア:
「そんなの間違ってる!
島の外の人すべてが敵じゃないのに!あなたのお母さんみたいに!!
突然・・・何で殺されるか分からない人がほとんどなんだよ!? 」
エレン:
「分かってる。
でも、憎しみによる報復の連鎖を完全に終結させる唯一の方法は、
憎しみの歴史を文明ごとこの世から葬り去ることだ。
お前に島の生贄になるためだけに生まれる子を産ませ、
親子同士を食わせ続けるような真似は俺がさせない」
涙ぐんでエレンを止めるヒストリア。
ヒストリア:
「私は・・・エレン!
あなたを何としてでも止めないと!
二度と・・胸を張って生きていくことが・・・できない! 」
エレン:
「耐え難いなら始祖の力で記憶を操作する。
それまでお前が黙っていれば」
ヒストリア:
「そんなこと!!」
エレン:
「できるさ。
お前はあの時俺を救ってくれた、世界一悪い子なんだから」
過去のジークとエレンの会話シーン。
ジークとエレンの会話が流れる途中で、
ヒストリア:
「じゃあエレン・・・」
過去のジークとエレンの会話シーンが終わる。
ヒストリア:
「私が子供を作るのはどう ? 」
「憲兵団はおまえを巨人にして
島に来たジークを食わせる計画を進めている。」
というエレンにヒストリアは
「この島が生き残る現実的な方法があるなら私はそれに従う」
と言います。
ヒストリアやエレン達は、この会話より前、
ヒストリアとその子供たちを犠牲にして
獣の巨人を継承するという案の説明を聞いていました。
エレンはこれを否定し、「他の方法」を探すべきだと訴えました。
でも「他の方法」なんてなかった。
ヒストリアはこの時 エレンがかばってくれただけで
充分だと言います。
そんなヒストリアにエレンは
「おまえが良くても俺は違う。世界を滅ぼす」
と言い、
ヒストリアは涙を流しながらエレンを止めます。
止めるヒストリアにエレンは
「できるさ。
お前はあの時俺を救ってくれた、世界一悪い子なんだから」
と言い、
その後エレンのマーレでのシーンを挟みながら、
「じゃあエレン・・・。
私が子供を作るのはどう?」
と言います。
エレンの、
「お前はあの時俺を救ってくれた、世界一悪い子なんだから」
この後唐突に
「じゃあエレン・・・。私が子供を作るはどう?」
とヒストリアが言っているように思え、
直前の会話までとの繋がりを感じにくいので
違和感ありますよね。
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ジークや憲兵団の計画とヒストリア
この時点だけでは、
若干意味が分からないシーンです。
・なんで唐突にヒストリアが「子供を作るのはどう?」って言うの?
・じゃあエレン・・・の、「じゃあ」って何と繋がってるの?
って思ってしまいます。
まず、ジーク案として最初にキヨミ様からパラディ島に伝えられていた計画は
下記のものです。
・パラディ島は近いうちに他国から攻撃を受ける。
・パラディ島は技術も戦力も劣っているので、
改良しなければならない。
・ヒイズル国の支援があっても、
巨人の力なしで島を守ることが出来るようになるまでには
50年程の時間が必要。
・パラディ島が侵略される危機を回避するため、
小規模な地ならしを他国に牽制として見せつける必要がある。
・地ならしには知性巨人になれる王家の人間と、
王家の人間以外の始祖の巨人が必要。
・そのために獣の巨人をヒストリアとその子供たちに継承させ続ける。
・エルディア人問題に関してはジークに秘策がある。
(秘策=安楽死計画であることは最初伝えていない)
いずれ技術の進歩によって巨人の力が絶対的な戦力ではなくなる。
という未来が予測できるものの、
現在の巨人の力は必要。
ヒイズル国に協力してもらっても
パラディ島が巨人なしで戦えるようになるまでは
50年程必要。
その50年間は他国がパラディ島を攻撃すれば
どうなるかを思い知らせる必要がある。
だから限定的な地ならしを起こし、
世界に地ならしの恐怖、パラディ島の力を思い知らせる。
地ならしには知性巨人の能力を持つ王家の人間と、
始祖の巨人の能力を持つ王家以外の人間が必要。
(王家が始祖を持っても不戦の契りで発動できないため)
そのために、王家の血を継いでいるヒストリアと
ヒストリアの子供たちの間で50年の間、
獣の巨人を引き継いでいく。
つまり、50年間ヒストリアと子供たちは、
親族を食べるという形で継承する。
ということです。
獣の巨人であるジークは
「ユミルの呪い」でもうすぐ退場します。
(知性巨人は13年で寿命になる)
同じように、ヒストリアが獣の巨人を継承した場合、
ユミルの呪いで13年で退場になります。
なので、50年の間獣の巨人を継承し続けるには、
多くの子供たちが必要になり、犠牲にならなければいけません。
ヒストリアは本心としては
獣の巨人を継承するのは当然嫌だったでしょう。
自分が無垢の巨人になり、ジークを食い、
さらに自分の子が無垢の巨人になり、自分を食う。
ヒストリアはとても辛くかわいそうな立場です。
でも他に方法がないなら仕方ない。
女王としての責任がある。ということでしょう。
このジークの案が
進撃の巨人のアニメ第87話でヒストリアが言った
「島を守るための現実的な方法」です。
受け入れるしかないと考えていたヒストリアに
おまえが良くても俺は違う。と言い、
世界を滅ぼすとエレンは言います。
「世界を滅ぼす」
というのは、
「(パラディ島以外の)
世界を滅ぼす」
という意味です。
地ならしで島以外を全部ぶっ壊す。という宣言です。
ヒストリアは世界を滅ぼすという
エレンの地ならしを避けたかった。
大虐殺になるので当然です。
だからエレンを止めました。
エレンはそんなヒストリアに
エレンの計画について、黙っていてくれればいい。と言います。
出来ないと言うヒストリアにエレンはこう言います。
「できるさ。
お前はあの時俺を救ってくれた、世界一悪い子なんだから」
ヒストリアは「悪い子?」
悪い子?ヒストリアが?
って話ですよね。
この「悪い子」という言葉は
過去の出来事でヒストリアが自身で言った言葉です。
(厳密には女王のヒストリア・レイスではなく、
偽名のクリスタ・レンズを名乗っていた時)
その時の悪い子発言はこれです。
巨人を駆逐するって!?誰がそんな面倒なことやるもんか!!
むしろ人類なんか嫌いだ!!
巨人に滅ぼされたらいいんだ!!
つまり私は人類の敵!!
わかる!?最低最悪の超悪い子!!
エレンをここから逃がす。
そんで全部ぶっ壊してやる!
レイス家のストーリーの時に
ヒストリアがエレンの拘束を解きながら言った言葉です。
この言葉が伏線になっています。
アニメ版では第44話「願い」で登場したセリフです。
ヒストリアがこんなセリフ言うなんてちょっと意外な感じもありますよね。
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この時はエレンに対してヒストリアが言いました。
自分を「最低最悪の超悪い子」だと。
ヒストリアは進撃の巨人の物語の中で、
ユミルとの友情を育みながら
「自由」「自分の思うように生きる」ということを学びました。
では、ジークや兵団の計画にヒストリアの自由はあるでしょうか。
全くありませんよね。
ヒストリアとヒストリアの子供たちを
犠牲にするという縛り付けるような内容でした。
ヒストリアが「超悪い子!」と自分で言った時。
それは、クリスタ(ヒストリア)の実の父親である
ロッドレイスに言われるがままエレンを食い、
ヒストリアが始祖の巨人を手に入れる、という流れを
拒否した時でした。
ヒストリアはこれを拒否し、
自分の意思で自由に選択し、エレンの拘束を解きながら、
自分のことを、
「最低最悪の超悪い子!!」
と言いました。
つまり、この時ヒストリアは自由だった。
悪く言えば自分勝手だった。
自由なヒストリア=自称、最低最悪の超悪い子!!
だからエレンはヒストリアに
「できるさ お前はあの時俺を救ってくれた世界一悪い子なんだから」
と言ったのでしょう。
ヒストリアがエレンを食い知性巨人になり、
レイス家の生き残りとして妊娠し、子供を産み、
自分の子供を無垢巨人に変え、
自分を食わせることで知性巨人を継承する。
ロッドレイスに従っていれば
元々ずっと続いていたレイス家の親族同士で食い合う姿に戻っていたでしょう。
でもそれをヒストリアは拒否した。
そしてその時エレンに言ったのが、自称、
「超悪い子!」
ジークや兵団の計画通りに行けば、
あの時拒否した子が親を食い、巨人を継承していく。
という世界がまた復活してしまいます。
ヒストリアはロッドレイスの要求を拒否し、
エレンの拘束を解いた。
そして、ヒストリアはレイス家で
再び親子で食うなどという状態になることをあの時点では防いだ、
自称、「最低最悪の超悪い子!!」。
なのです。
エレンはこの時の出来事、思いを
ヒストリアに思い出させたかったのでしょう。
「じゃあエレン・・・。私が子供を作るのはどう?」発言の脈絡と結果。
エレンの言う
「世界一悪い子なんだから」
これは、
思い出せ、と。
おまえの願いはなんだ。自由だろうと。
あの時拒否したヒストリアが知性巨人になるという道を
今回改めて選ぶのかと。
そんなことをしなくてもいい。
おまえが俺の計画を黙っていてくれればいい。
そうしてくれれば、おまえだって自由になれる、と。
だから今回もジークや兵団の計画に乗って犠牲にならなくてもいいんだよ、と。
だから、黙ってくれればいい。
「できるさ。
お前はあの時俺を救ってくれた、世界一悪い子なんだから」
ということだと思います。
この言葉を聞き、ヒストリアは内心どうであれ、
エレンの計画に乗る、あるいは黙認することにした。
「島を守る現実的な案」であるジーク案を放棄し、
エレンの世界を滅ぼす、
つまり地ならし案を受け入れる、
もしくは黙認した。
そして、
「じゃあエレン・・・。私が子供を作るのはどう?」
と言った。
ヒストリアの
「じゃあエレン・・・。私が子供を作るのはどう?」
という発言は、
エレンの地ならし計画に乗った、
あるいは黙認する、という返事の一部なのだと思われます。
実際この後どうなったかというと、
ヒストリアが妊娠したことで、
兵団の計画だったヒストリアがジーク食い獣を継承する、
という話は延期されました。
(ローグとナイルの会話)
ヒストリアが妊娠した(子供がお腹にいる)状態で
無垢の巨人にし、さらに知性巨人を食わせる。
こんなことをやってしまえば、
貴重なヒストリアやお腹の子が危険。
だから兵団は計画を延期するしかなくなった。
このような結果になりました。
ヒストリアはエレンと会話している時点で、
妊娠すればジークの巨人継承が延期される、
ということを予測出来たのでしょう。
どうなるかが完全に分かったわけではないでしょうが、
女王という立場があるので何か理由が無ければ断れなかったのでは、と思います。
だから、
「じゃあエレン・・・。私が子供を作るのはどう?」
と言った。
つまり、唐突な
「じゃあエレン・・・。私が子供を作るのはどう?」
というセリフは、
ヒストリアが兵団の計画に乗らない方法を考えて
エレンに「妊娠」という案を提案したという流れによるもの。
なぜヒストリアが子供を作ったのか?ということの答えは、
エレンの計画への賛同、もしくは黙認と、
ジークや兵団の計画を実現させないため。
その決意を促したのがその前の「超悪い子」発言。
ということだと考えます。
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